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2010年9月15日水曜日

為替介入の是非と円高の別な考え方

今日の午前中、日本政府は2004年以来、約6年ぶりに円相場に介入しました。一時1ドル82.88円だった円相場が、介入から1分足らずで83円台後半を付け、午後1時過ぎには84.97を付けました。

「そんなに効果があるんだったらもっと早くやれよ!」という声が聞こえてきそうです。

でも、昨日の選挙が終わって勝たなければ介入するだけの政治的力が菅直人にはなかったのかもしれません。そして勝てたので介入でき、最初の仕事として印象を残すには十分な効果がある「初仕事」だったと思います。

ただ、本当に円相場に介入していいのか?将来の日本にとっていいのか?冷静になって考えてみたいと思います。

以前にも「円高のバカらしい議論?」というタイトルでブログを書きましたが、円高は政治家と官僚と変革を嫌う人にとってマイナスなのです。一般的に輸出企業にとってマイナスだと思っている人が多いと思いますが、この後説明したいと思いますが、実はそうでもないのです。その前に一言、輸出企業に投資をしている人たちにとって、株価が下がるからマイナスですが、それは自己責任で論外です。

実際、優れた輸出企業はすでに円高に対するヘッジ(工業の海外移転、金融商品など)を長年に渡って行ってきているのです。デキの悪い会社はヘッジしていないかもしれませんが、そう言う会社はそれ以前の問題で、円高有無にかかわらず、淘汰される可能性が高く、どうしょうもないと思います。

さて、円高は政治家と官僚と変革を嫌う人にとってマイナスと言いましたが、それはなぜかと言いますと、日本でもっとも国際競争力が劣るのは国内のサービス産業だと言われています。今回の円相場介入は輸出企業の業績保護というよりは、国内のサービス産業の保護、必要な改革を遅らせている、のだと思っています。

簡単に説明しますと:
-       円高になると、円の価値が高く(強く)なり、海外通貨の価値が低く(弱く)なる。
-       為替の動きが「自然」だったとすると、真水が塩水と混ざることで中和されるのと一緒で、為替も「適当」な「中間」所で落ち着くはずです。
-       このため、為替が「中和」されるまでは、日本からの輸出品が高くなり、海外からの輸入品が安くなります。
-       このため、上記理由から海外(弱いところ)から安い製品が一杯日本に輸入されてきます。
-       安い輸入品が増えると日本国内の物価・物が安くなります、現に「円高還元セール」をイオン、ヨーカドーなどのスーパーを中心に行っています。
-       ただ、ここで問題なのが、海外から安い製品が一杯入ってくると、日本で作り日本で売っている会社とその製品が、輸入品との価格競争にさらされます。
-       例えば、円相場が1ドル120円の時にサマンサタバサやポーターのバッグが3万円、コーチやフェンディのバッグが5万円だったとすると、サマンサタバサやポーターのほうが40%ほど「お買い得」です。
-       しかし、円相場が80円になったらサマンサタバサやポーターの価格は変わらず3万円でも、コーチやフェンディのバッグは40%以上安くなり、4つの製品には「お買い得」なものが無くなり、あとは品質やブランドバリューや好みの問題となってしまいます。
-       この様な事はいろいろなものに当てはまってきます、例えば、お米、外食産業、お酒、宅急便、携帯電話、PCiPhone、薬、印刷、広告、ホームページ制作などなど。
-       要するに、海外からの「物」だけでなくサービスなども日本国内に参入しやすくなるのです。
-       この様に考えると、今まで円安によって保護されていたのは日本国内の市場で、輸出企業ではなかったと考えることができます。

こう書くと、聞こえてきそうなのが、「じゃ、円高は2倍だめじゃないか」と。そこで先ほど述べました「円高は政治家と官僚と変革を嫌う人にとってマイナス」と言うところに戻るのです。

「政治家と官僚と変革を嫌う人」はこの国内の競争力向上に手を付けたくないのです。海外の会社が日本国内に参入して「シマ」を荒らされたくないのです。多くの方は「あーそうだ!」と思うかもしれません。

しかし、競争しなければ競争力が低下します。新しことを学ぼうとしません。進歩しません。日本に入れなければ他国に行きます。他国に行けば他国の競争力が上がります。日本は進歩しないのです。当然、そう言うオプションもあってもいいと思います。そうなった場合には国内の競争力のある人や会社が海外に行けばいいだけの話です。でも

先ほどある海外のあるブログを読んでいて、このような内容が書かれていました、「日本政府の介入の動きを過大していて、日本の影響力が下がっている中で日本が円介入しても、世界経済に与える影響は少ないのではないのではないか。このことによる問題はむしろ、日本が介入したのだから中国がしてもいいと思うことである。その方がよっぽど怖いと」はっきり言って悔しいです。

さて、海外の反応です:

・今回介入したことで投機筋が排除されることで円安の流れに変わるのではないかとしている。
・三井住友銀行は年内には史上最高値の1ドル79.75円を超えるとしている。

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