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2010年12月15日水曜日

2011年の予想(その2:ジョセフ・スティグリッツ)

コロンビア大学教授でノーベル経済学賞を受賞したジョセフ・スティグリッツが2011年の経済について予想した投稿した記事がありましたので、前回に引き続き来年の予想をご紹介したいと思います。

— 世界経済は年初めより、深く分裂して終わろうとしている。インド、中国や東南アジアの途上国は力強く成長しているが、方やヨーロッパやアメリカはスタグフレーション、日本型の停滞と高い失業率が続いている。

— 先進国が直面している問題は雇用なき景気回復ではなく、沈滞した回復である。もしくはそれよりもひどい二番底の景気後退の可能性である。

— アジアの経済は世界経済を引っ張り上げるには小さすぎるが、コモディティの値段をつり上げるには十分な規模があるという、珍しい問題・リスクが生まれようとしている。

— アメリカでは量的緩和をすることで経済を活性化しようとしているが、これは裏目に出る可能性がある。それは、グローバル化された金融市場においてお金というものは最もリターンが見込めるところに流れるが、その場合、それはアメリカではなくアジアになるはずである。そうなると、お金は必要とするところには届かず、必要でないところにたどり着き、それによって、資産やコモディティにお金が流れ、価格をつり上げることになる。特に途上国でそうなる可能性がある。

— 高いレベルの余剰能力があるヨーロッパやアメリカにおいて、量的緩和はインフレを引き起こす可能性は低いと思われる。しかしながら、将来のインフレに対する懸念が長期国債の金利をつり上げる可能性があり、それはFRBが本来やろうとしていることの正反対の結果につながる。

— しかし、これだけが現在の世界経済が抱えている最も重要な問題ではない。世界各国、特にヨーロッパでは緊縮予算の傾向が広がっており、各国の債務返済の見通しが悪いことでマーケットが不安定となっていることが、今世界が直面している最も大きな問題である。

— 時期尚早な財政健全化がもたらす結果は目に見えている:成長が減速し、税収入が途絶え、財政赤字削減は失敗に終わる。

— 記録的に低い金利でお金を借りられるアメリカが現在しないといけないことは、今まで怠ってきた公共投資である。大規模な公共投資をすることで短期的な雇用を生みつつ長期的な成長をもたらし、さらには将来、国の負債の削減につながることになる。しかしながら、先見性のない金融市場は支出削減の圧力をかけている。

— さらに、ほかの経済問題も政治の行き詰まりから何も解決しないことも見えている。例えば、住宅の差し押さえ問題、中小企業の資金不足、従来これら企業に融資してきた中小銀行の倒産など。

— 反対にヨーロッパはと言うと、今より良くなることはないであろう。

— やっとの思いでギリシャとアイルランドを救出したヨーロッパであるが、ヨーロッパの自由市場経済はアメリカと同様にワークしないことが示された。

— アイルランドを見ればわかるように、土地バブルが弾けるとそのあとには大きな負債と過剰なキャパシティが残り、並大抵の努力では減らないのである、特に政治的に強いコネクションを持つ銀行が抵抗した場合にはなおさらである。

— 2011年の経済を予想するのはそれほど面白いものではない。答えは「暗い」で済むからである。アップサイドは少なく、ダウンサイドは大きいであろう。

— それより重要な質問は、ヨーロッパとアメリカが回復するにはどれだけ時間が必要なのか?そのマーケットが回復しないまま、アジアはどこまで成長を続けられるのか?である。

— 私は国内マーケットにフォーカスすることで成長は続くと予想する。そのためには中国もインドも経済の形を大きく変える必要があると思うが、可能であると考える。

— しかし、ヨーロッパとアメリカについては悲願的である。

— 今の問題を解決するには過剰にある能力を必要とするところにシフトすれば良いのである。例えば、環境問題の解決に向けて経済をシフトすれば良いのである。しかし、そのためには政治的な問題がある。

— アメリカの場合、共和党は経済を回復させるより、オバマが失敗することを望んでいる。

— ヨーロッパの場合27の国々がそれぞれの方向に向かって進もうとしている。そう考えるとアイルランドとギリシャを救出できたことは奇跡である。

— アメリカとヨーロッパでは、自由市場によってバブルが自由に成長できて、それが現在の問題を生むこととなったのである。これにより、自由市場の考えが衰退するかと思えば、その自由市場が緊縮予算を求めていることで政府や経済をドツボに嵌めようしているのである。

— もし政治が問題であるならば、政治が変わらなければ問題が解決しないことになる。それとも、過剰なキャパシティが自然と無くなるまで待つか、それとも経済に組み込まれている回復作用が時間をかけて直すかである。いずれにしても勝利はすぐそこにはない。

2011年は暗いようです、スティグリッツによると。
しかし、これを読みますと、過剰なキャパシティ、経済のシフト、緊縮予算、不良債権、政治の問題などなど、昔と今の日本に当てはまることがたくさんあるように思います。人間は人種に関わらず考えること・やることは変わらないのでしょうか?

2010年12月14日火曜日

2011年の予想

経済学には供給側を強くすることで経済を強くしようとするサプライサイドエコノミクスと消費側を強くすることで経済を強くしようとするデマンドサイドエコノミクス、という2つの考えがあります。政治では日本の自民党とアメリカの共和党がサプライサイド、反対に日米共に民主党はデマンドサイドを経済政策の基礎として考えています。というか、少なくとも日本の民主党の場合は、「これまではそうだった」というべきでしょうか。

今夜、菅直人総理が財源の見通しもなく、法人税を5%削減すると発表しました。これから会社を立ち上げようとしている私としては(儲かって、利益を上げて、税金を払えばではありますが)ありがたいお話しです。ただ政治理念としては残念な話しです。私は民主党にこれまで一度として選挙で投票はしたことありませんが、その政党を支持しようがしまいが、政治には理念がないといけないと思います。

民主党に投票した人の中には、民主党は所得税などを減税してくれて、それにより所得が増え、消費を高めて景気を良くする、デマンドサイドを強化してくれることを期待して投票した人は多いのではないかと思います。そういった人たちは完全に裏切られたと思います。

民主党が政策や理念をシフトするのは珍しくも驚きでもないのですが(政治家全般として言えることですが)、なぜ今回法人税おいて政策や理念を変えて・捨ててしまったのか、官僚に言われたからやったのでしょうか?(民主党の大臣が官僚のメモを読み上げる映像がテレビで出まくっているので、そうとしか思えないのですが)日本を大きく変えるには日本もアメリカのように政権が変わると官僚総入れ替え、せめて官僚の人事を政治が主導権を持たないと、なかなか変われないのではないかと思ってしまった今日の法人税ニュースでした。

さて、本題ですが、元メリルリンチ北米チーフエコノミストで現在Gluskin Sheffのチーフエコノミストのデービッド・ローゼンバーグが2011年のテーマについてレポートを出していましたので、こちらをご紹介したいと思います

ローゼンバーグはベア(熊)、現在の経済に対して悲願視しているグループに属しますが、アメリカの住宅ローン問題や金融株下落などかなり前から現在の不況は大恐慌に似ていると言い、私も含めて、彼のニュースレターを読んでいる人は多いです。

1. S&Pが1,350そしてGDP成長率4%が2011年の予想・コンセンサスである。ブルームバーグで調査されたストラジストのうち誰一人として株式に対してベアがいなかった。これは2009年3月や2010年7月と全く反対に安心感が広がっている。このため、2011年の前半はポジティブではないと考えている。
また、株はいい決算のニュースと経済成長への期待から、高い側のレンジで値付けられており、バリュエーションでは高くないが、気持ち・期待感は高くなっている。我々は今後良い買い機会がくると考えているが、特別なシチュエーションにある会社を買うべきであると考えている。そのシチュエーションとは配当の成長、割安株、強いバランスシート、北米の成長有無にかかわらず強い企業など。
2. 私は、アメリカのGDP成長率が今年の3%前後から、来年は2%前後もしくはそれ以下に下がると考えている。これは二番底ではなく、成長が遅くなると考えている。カナダ銀行が示したように、来年は世界経済の成長が低調になり、世界の循環に対して注意が必要だと思われる。
3. ヨーロッパの財政や信用格付けの問題は続く。また、アメリカの州や地方政府の財政問題も続くであろう。さらに、中国の引き締め政策も不安材料である。このようなことからボラティリティが高くなると思われる。
4. ドルは強まると思われる、特に対円とユーロに対してである。
5. エマージングマーケッツはインフレ圧力に対して中央銀行が引き締めに走ると思われることから苦しむことになると思われる。中国の株価を見ると、トップが形成されたと思われる。
6. 2011年のアメリカ財政に必要な借り入れは2010年と変わらない。このため、一般的に思われている財政問題が長期国債に与える影響は誤りである。今のイールド・カーブは急すぎるため、債券利回りを筆頭にいずれ平らになると思われる。最近の長期金利の上昇は2009年12月とそっくりであり、それが2010年の債券のポジティブなリターンを生むこととなった。
7. 最近のコモディティの価格高騰にも関わらず、依然デフレがアメリカの中短期の問題となると思われる。また、FRBの努力も虚しく、貨幣流通速度は低調のままである。依然労働市場には余剰能力がある。
8. 社債は以前ほど安くはないが、社債の中では金融とユーティリティ(公益設備)のセクターがいいと思われる。期間で言うとカーブの5〜7年、レーティングで言うとBBB〜BB。
9. マクロで最も問題・リスクになると思われるのがアメリカの住宅価格である。あまり注目はさせていないが、最近その価格が下落し始めている。
10. 我々の買いリストには成長乏しいと思われているセクターの株である、例えば、ユーティリティ、パイプライン、石油収入、製薬、食品、スーパーマーケット。

2010年12月9日木曜日

中国:史上最強の国、それとも史上最強のバブル?

HSBCから200ページ以上の途方もない中国に関するレポートが出されていましたので後ほど簡単に紹介しますが、ページ数もさることながら、これを読むと中国という国が途方もないということを感じがします。その反対に中国の高官さえ国が発表するデータが当てにならないと言っていたことがウィキリークスで明らかになっています。

まず、その高官のお話し。ロイターTelegraph紙に「ウィキリークス:中国高官、中国が発表するGDPを信用していない」と題した記事がありました。その高官とは現在の第一副首相で、時期首相最有力候補と言われている李克強。その李克強がまだ遼寧省の委員会書記だった頃の2007年にアメリカのクラーク・ラント駐中米国大使と会食した際の記録だそうです。

「李氏は遼寧省の経済評価の際、電力消費、鉄道貨物量および銀行融資の3つのデータだけに注目すると発言。公電は、「李氏は、これら3つの数字を見るだけで、経済成長の速さの相対精度を測ることができる、と述べた。他のすべての数字、とくにGDP統計は『参考用にすぎない』と李氏は笑顔で語った」と、ロイターでは伝えています。

これって、なんだか昔から怪しいと言われている会社の次期社長候補の副社長が部長時代に「うちの経理って適当に色づけしながら決算書を作っているんだよね」って言っているような話で、そんな会社に投資をしますか?株を買いますか?ということになりますよね。とは言っても、粉飾しようが脱税をしようが、バレないで成長してROIが高ければ結構という人もいますので、そこはリスクベネフィットを考えながら、賢く行きましょう!

その反対にこのレポートを読むと考えが変わってしまいます。200ページにも及ぶHSBCのレポートですが、市省の経済や実情が詳細に分かります。ここでは31の省の強みと課題が書かれており、今後5年を予想しています。また、この中で面白かったのが、各省の2000年と2009年と2020年のGDPを世界の国に当てはめた場合どこになるかとう言う地図。各省を国に例えてグラフ化しているこのレポート読むと、中国は今後永遠に成長をし、最終的には世界征服するのではないかという風に思ってしまいます。

それによると:
• 中央政府の戦略に乗っ取って経済活動が進んでいると思われているが、実際には地方政府や地方の高官に力が移住していて、彼らに大きな力と権限が与えられている。
• 中国の6つの州それそれのGDPが2020年までに1兆ドルを超えるとし、それはロシアを6倍にした規模となる。
• 中国の人口の47%は都会に住み、8つの都市は1000万人を超え、93都市が500万人を超えている。反対に500万を超える都市はアメリカにはニューヨークしかない。
• ワシントンDCのような北京は、シリコンバレーでもある。北京の中関村では23のハイテク企業が2009年にIPOしたが、シリコンバレーでは1社だけであった。2010年には35社がIPOをしている。
• 崑山市では世界のノートPCの半分にあたる、年間8500万台を生産しているが、IT関連製品は同市の製造品の上位に入っていない。
• 蘇州市の一人当たりのGDPは北京より70%、上海より46%高い。
• 人口1500万人のオルドス市のGDPは3年後には香港を抜くとされている。
• あと5年は現在のような成長が続くと思われる。
• 鉄道やクリーンエネルギーなどの分野の省レベルでの成長が国の目標値を超えている。それは、各省同士が競争をして予算を奪い合っているため。
• ただ、過剰生産能力に陥る危険性がある。崑山市と重慶市を合わせると世界のノートPCの80%を供給できる能力を持つことになる。
• また、過剰生産能力に陥ると不良債権が増える可能性が高まる。
• さらに、不動産価格の高騰のように、中央政府が価格を抑える手を打っても、地方の利権が勝って効果が無くなっている。
• このレポート書いて分かったことは、北京を押さえるだけでビジネスができるようにならない。ビジネスをするためには地方の役人も味方に付けないといけない。
A Guide to China's Regions, Provinces and Cities

2010年12月6日月曜日

成長しきった日本と成長を続けるBRIC

日本が中国に抜かれて世界3位の経済国家になったせいかどうか分かりませんが、日本に対してネガティブな考えを持つ人が増えたと思います。例えば、日本が中国に抜かれて、これからアジアを支配するのは中国であり、日本は植民地化すると言ったような悲願的な意見など。

確かに日本では明るさが消えかけ、ものすごく暗くなっている感じがします。友達と話していても、会社でリストラを進めそうだとか、給料が減りそうだとか、明るい材料が少ないです。

その理由は政治にあると私は思っています。敗戦後間もなくは、日本国民全体が貧しかったので、政治メッセージが作りやすかったのです。政治家はただ「みんなでがんばって働いて裕福になろう」と言えば済み、そのプロセスに多少の歪みがあっても問題にならなかったのです(今の中国も一緒で、成長している間は多めに見てくれる国民も、成長が途絶えてくると国の運営は難しくなってきます、だから今のうちからどうにかしようと中国共産党は躍起になっていると思います)。

しかし、80年代に入り日本も裕福になるにつれて目標が失われ、政治家もメッセージが作れなくなったのだと私は思います。「より裕福になろう」と言っても国民は納得せず、今までがんばった分、その恩恵を受けたいと国民は思うようになった。例えば週6日働いていたのが5日になったり、ドルが高くて海外旅行に行けなかったり、海外ブランドを買えなかったりしたのが変動相場でドルが安くなったことでこれらができるようになりました。

理由はこれだけではないにせよ、政治家は将来的な目標を立てて、それを国民に伝え、コンセンサスを得るというのが大きな仕事であり、責任だと思います。今の政治家は果たしてその責任を果たしているのかどうか、大変疑問です。

いいか悪いか、好きか嫌いかは別にして小泉純一郎は、自己責任、競争力向上、アメリカ中心、郵政民営化など、日本が進むべき道を示していました。それ以降の自民党総裁・総理はそれができなかったから短命政権からついには野党となってしまった。反対に民主党はいろいろなことをマニフェストで掲げて道を示したが、結局道を示しただけで、進むことはいまのところできていないと私は思います。

そういう中でも日本に対してポジティブな記事が(珍しく)フィナンシャルタイムズにありましたのでご紹介したいと思いますが。その前に、ブラジル、ロシア、インド、中国のBRICについても大変ポイジティブな記事もありましたので、こちらを最初にご紹介します。

ゴールドマン・サックス・アセット・マネージメントのジム・オニールがBRICについてレポートを出し、フィナンシャルタイムズに記事がありましたがその内容を簡単にご紹介します。

— BRICの消費者の消費規模は2019年までにアメリカと並ぶ。
— アメリカの消費者の代わりとなり、耐久消費財、高級品、観光などの分野で成長する。
— 現在の規模は4.2兆米ドルであり、アメリカの40%に満たない。
— その中で中国が1.8兆米ドルで約半分を占めていて、ブラジル、インド、ロシアと続く。
— 世界2位の経済となった中国だが、国内の消費規模は日本の60%である。
— ただ、重要なのは将来の可能性である。
— 2025年までにBRIC全体で平均毎年1兆米ドル拡大する可能性がある。
— ジム・オニールの予想は楽観的と言えるが、ただBRICの中級層が増えるにつれて、消費材とサービスのセクターは大きく拡大すると思われる。
— 例えば、2020年までに世界の車の販売台数や高級品の半分、飛行機の35%を占めるとされている。
— 投資家はどうすれば良いか、一つは株式市場に参加すること、例えば中国の株式市場の時価総額はあと20年内にアメリカを抜くとされている。
— もう一つは債券市場である。
— ジム・オニールのように新興国に対してブルな考えをもつグループがいる反面、ベアなグループは、経済の不透明感がより深刻になればBRICなどの新興国もそのショックを間逃れないとしている。
— また、ジム・オニールのアドバイスを受け入れる投資家が増えれば新興国にお金が流入しインフレへのプレッシャーが高まる、としている。

対して日本に関する記事もフィナンシャルタイムズにありましたので、続いてこちらもご紹介致します。記事のタイトルは、「安く見えてきた日本株」

— 20年前までは、機関投資家にとって日本株を保有していないということはキャリアを危険にさらしていたが、いまでは、日本株を保有していることがキャリアを危険にしている。
— メリルリンチの調査で、29%のファンドマーネージャは日本株を保有していないと答えている。
— その理由として;日本企業のマネージメントは株主を軽視する、簡単に株を希薄化する。また、ROE(株主資本に対する収益率)はアメリカの1/3という低さ。
— ピークから75%低くなっている日経平均は評価方法によっては安くはない。
— さらに、人口の減少や中国の台頭を考慮すると希望が無くなる。
— しかし、少し希望を持つと、日本の太陽は永遠に沈んだのではなく、雲に隠れているだけと考えられないか?
— ROEが低い理由について、モルガン・スタンレーのアレックス・キンモットはデフレによるものだとしている。
— 循環的変動調整を行うとアメリカと同じぐらい株式は高いため、悲願的な投資家はもっと安くなってから入っても遅くはないとしている。
— しかし、ここ十数年銀行が土地や株の持ち合いで計上した損失を省くと、日本株は安くなるとキンモット氏は言う。
— では、過剰投資や株の希薄化などの企業体質はどうなのか?金融引き締め以降、日本企業の投資は減少しており、減価償却されるにつれて利益マージンが高まると思われる。
— また、企業の持つ負債額も削減し、利子を支払われる側となっている。
— さらに、日本の株はブックバリュー以下で値付けられており、多くのキャッシュを保有し、レバレッジも低い。
— ベン・グレアムの投資基準に合う株は日本にたくさんある、アメリカ株ではそうは言えない。
— 最近、雑誌のエコノミストに日本の人口低下に関する記事があったが、日本の労働人口低下は問題ではない。というのも低い労働力参加率を高めれば問題が無くなる。
— また、日本の人口が減少していることに対して悲願視する人たちが見落しがちなのが、経済成長と投資収益は比例しないということ、すなわち、GDPの成長が直接株式市場の上昇に比例しないというリサーチ結果がある。
— 日本にはチャレンジがたくさんあるのは確かであるが、日本がおしまいとする解説は大げさである。
— そこに投資チャンスが眠っている。

2010年12月1日水曜日

アイルランド、そして続きまして〜

「アメリカ外交公電流出事件」ですが、ウィキリークスすごい話題になっていますね。ウィキリークス創設者の一人、ジュリアン・アサンジがフォーブスのインタビューで外交文書の次はアメリカの銀行の内部資料を公にするそうです。まだ銀行名ははっきりしていませんが、バンク・オブ・アメリカだと言われています。今更に銀行が秘密を持って悪いことをしていたことが分かったからと言って、何にビックリするのか分かりませんが、まぁ、そういうことなので、そういうことで。ちなみにジュリアン・アサンジは強姦罪で当局が捜査しているそうですが、これもまた陰謀でしょうか?(陰謀ものの映画とか大好きです)。

尖閣諸島のビデオ流出もそうなのですが、技術の発達やインターネットの普及等によって「秘密」を秘密にしておくのが難しくなってきました。夫婦生活と一緒ですね。結婚生活が長くなればなるほど見通されてしまいます。私も見習って、そして反省をしつつ、これを機に妻に「秘密」を作るのをやめることにしました。はい。

さて、アイルランドの今の状況を作り上げた大きな要因がドイツだということで、ドイツに対する風当たりが強くなっています。というのも、国有化されたドイツ版ファニー・メイ/フレディ・マックのHypo Real Estateやドイツの銀行は1390億米ドルにも及ぶ未払金がアイルランドにあり、The Peterson Institute for International EconomicsのJacob Funk KirkegaardによるとこれはドイツのGDPの4.2%になるそうです。

ドイツを含むヨーロッパの余ったお金がアイルランドに流れてバブルを作り上げたということになります。このため今回の問題はお金を使ったアイルランドだけの責任ではなく、与えたドイツにも責任があるのだから、ガタガタ言うな、となっているわけですね。

その、アイルランドが9000億ユーロで売りに出されていました。

フィナンシャルタイムズのマーティン・ウルフが「アイルランド問題がユーロ国にとって試練となるか」と題した記事の中で、なぜこのような危機になり、今後について書かれた記事がありましたので、内容を簡単に。

– そもそも、共通通貨を作ったのは通貨危機を回避するためであったが、通貨危機の代わりに、よりひどい金融危機を招くこととなった。
– その理由が、競争力が弱い国の経済が最大になるにつれて対外赤字が拡大し、雇用を維持するためには政府や民間は収入以上の支出が必要となった。
– 支出をファイナンスするためには外から借り入れる必要となるが、それはいつまでも続かない。
– その資金の貸し出しが銀行経由で行われるとアイルランドやスペインのように金融機関の問題となり、公的機関経由で貸し出されるとギリシャのように国費の問題となる。
– また、ヨーロッパの低い金利が国によってはそれ以上に低く感じられ、さらに世界の消費が低迷している中で金利も低かったため、よりその影響が大きかった。
– これが金融危機につながった。
– 今後大きな問題が、果たして共通通貨が生き延びられるかということである。
– しかし、European Council on Foreign RelationsのJose Ignacio Torreblancaの記事を読む限りは、その答えは、ノーである。
– ユーロを維持するかどうかは経済の問題ではなく政治的な問題である。
– 国がデフォルトすることは問題ではなく、問題はメンバー国にとってユーロを維持することによるベネフィットがあるかどうかである。

いずれにしましても、今後ヨーロッパがどのようになるか目が離せません。

そこでここ最近のPIIGSと呼ばれるポルトガル、アイルランド、イタリア、ギリシャとスペインの国債の調子を見てみたいと思います。

ポルトガル


















アイルランド


















イタリア


















ギリシャ


















スペイン



















ご覧になって分かりますようにどこもかしこも叩かれています。特にキテるのがイタリアです。

イタリアはここ3年内に債券の償還で8000億ユーロが必要としているので、マーケットが示しているようにポルトガル、スペインとイタリアも危ないとすると、欧州中央銀行による国債買いだけが残された救済方法とする意見もあります。

2010年11月29日月曜日

アイルランド支援とアメリカの量的緩和に対抗する中国の量的規制

風邪を引いてしまったせいで、ここしばらく更新を怠って申し訳ありませんでした。「いつ布団を厚くし、電気毛布をつけるか」という難しい課題・タイミングを間違えてしまい、先週のある寒い夜に風邪を引いてしまいました。

本題の前に、最近日本では市川海老蔵の話がいまだに話題になっていますが(個人的には暴走族が西麻布でのんきにモーニングしているお金があるとは思えないので、そうなりますとその上組織となり、まぁ「覚えていない」と言いたくなる気持ちもunderstandします…)、今日はレスリー・ニールセンが亡くなったという個人的に悲しいニュースがありました。「裸の銃を持つ男」で有名になりましたが、あのおバカ加減が大好きでした。週末に彼の映画を再度観ようと思います。

さて、久しぶりのブログ更新ですが、最近気になる経済ニュースはアイルランドが援助を受け入れたという話、それから先日アメリカが行った量的緩和に対する中国の対策の「量的規制」の話でしょうか。

まず、ヨーロッパですが、アイルランドが日本時間の11月28日深夜にIMF/EUの支援を受け入れると発表しました。額としては850億ユーロ(約9.5兆円)規模となり、そのうち350億ユーロが銀行に使われ、500億ユーロが国の生活費に使われるそうです。金利は「結構高いなぁ」と思う、5.8%になります。受け入れに対してアイルランドが最も抵抗していた法人税増税は見送られました(インテルとグーグル株をショートした人はカバーしないといけません)。融資の条件として今年32%だった赤字を、来年は10.3%、再来年には9.1%にしないといけないそうです。また、社会保障の削減や増税、公務員10%の削減などが条件に含まれています。収入が6.7万米ドル(約600万円)の平均的な家族の場合5,800米ドル(約50万円)の増税になるそうです。お金がないのだから借りるしかなく、条件についてとやかく言える立場にないとはいえ、当然のようにアイルランド国民は反発しており、政権交代になりそうです

そして、アイルランドの次に叩かれると言われているポルトガルの国債が7%と、今月初めにつけた高値に戻り、そのポルトガルに対してドイツが支援受け入れを迫ったとドイツ紙が報道したため、その火消しに追われています。

ニューヨーク大学のヌリエル・ルービニもポルトガルも支援が必要になるとインタビューで答えています。また、シティグループチーフエコノミストのウィリアム・ブイターは先週、ポルトガルは年内に救済が必要になり、そのあとすぐにスペインも必要になると言っていました。ポルトガルはともかく、救済しないといけないけど救済するには大きすぎるスペインをどうするか、ドイツにとって大きな問題になりそうです。

ちなみにIMFへの出資で日本はアメリカに次ぐ第2位ですが、日本は今回IMFに新たに約1000億米ドル出資するとしています、ヨーロッパ救出に我々日本人の税金が活用されることとなります。

さて、続きまして中国ですが、アメリカが量的緩和を行ってから中国を含む途上国にドルが流入し、株や土地等にお金が流れ込んで、資産の価格が高騰し、バブっています。日本でも日経平均が高くなっていますが、それ以上に途上国は上昇していました。

量的緩和によるお金の流入に対して中国はカウンターとして量的規制を行うと言われています。なぜ金利を上げるなど一般的な方法でお金の流通を押さえることをしないかと言いますと、ドルとのペッグ、国内の需要と雇用の安定を保たせるためには急激な金利の上昇はリスキーであると考えているからのようです

量的緩和は中央銀行がお金を発行したり、資産を買い取ったりすることで、金利を下げずにお金の流通量を多くし、それによって経済活動を高めることを言います。量的規制はその反対にお金の発行を減らしたりすることで金利を上げずにお金の流通量を減らし、それにより、経済活動を冷やすことになります。

ドイツ連邦銀行総裁のアクセル・ヴェーバーは中国とアメリカの関係について次のようなことを言っています。ここ10年の問題は赤字の国と黒字の国の双方の問題よるものである。アメリカの赤字は国民全体の低預金によって引き起こされているのに対して、中国等の途上国は輸出に有利な為替政策をとったことで黒字になった。特に中国はこの黒字を中国国内で使うより、米ドルを中心に外貨準備で保有し続けており、黒字国からすると何ら問題ないこととは言え、ショックを受けた場合の世界経済を脆弱にしている。このアンバランスが世界経済へのリスクであり、均等にすることが赤字国と黒字国の今後の課題である、としています。


このように、アメリカの量的緩和は中国の為替政策に対するアメリカの施策であり、これによって中国のドルペッグを外し、世界貿易を均等にする目的があると思われます。

要するに、アメリカの量的緩和と中国の量的規制の「いたちごっこ」ということになります。地球が文明化される前なら戦争になっていてもおかしくないこの状況で、どちらが先に音を上げるか…

2010年11月22日月曜日

インドのサブプライム問題:マイクロファイナンス

今回ブログをアップすると101回目となります!ブログを開始して約3ヶ月になりますが、36名の方々が読者になっていただき、数々の方がブックマークしましたと連絡いただきました。これまでに読んでくださった皆様ありがとうございます!感謝します。これからも宜しくお願い致します。

それでは本題の前に、アイルランドに関するアップデートです。これまで救済措置の必要性がないとしてきたアイルランドですが、昨日同国の財務大臣が救済を必要としていると認めたようです。IMFと欧州中央銀行とイギリスやスウェーデンも資金援助の用意があるということを発表したので、近々救済措置が発表されるのではないかと思われます。

ただ、フランスやドイツ等は救済の見返りに法人税増税を求める可能性があり、これに対してアイルランドは抵抗するものと思われ、ここをどう納めるかがポイントになりそうです。その理由が、低法人税のアイルランドにはグーグル、マイクロソフト、ヒューレット・パッカードやインテル等アメリカの大手企業が拠点を構え、100,000以上を雇用しているようで、法人税を増税することになれば他国へ流出を懸念しているようです。もし増税となれば最も痛む会社がグーグルだとされています。アイルランドを活用することによる節税で、グーグルの最終的な実質税率が2.4%とされており、年間31億米ドル、一株あたり100米ドルの節税だと言われています。法人税が増税されるとグーグルも株価にも影響を与えると思います。

それではマイクロファイナンスについてです。マイクロファイナンスとは無担保で小額のお金を貧しい人に貸し付ける金融のことで、融資を受けた人たちが新しい事業を始めることで将来の自立を支援するというものです。バングラデシュのグラミン銀行総裁のムハマド・ユヌスが2006年にノーベル平和賞を受賞したことで脚光を浴びました。インド、パキスタン、スリランカ、メキシコ、チリ、など世界中にマイクロファイナンスを行っている会社矢団体があります。

世界銀行によると、現在、開発途上国で貧しい人約16万人にサービスを提供している会社が7000以上あるとしている。 マイクロファイナンスの世界の売上高は25億米ドルと推定され、今後さらに成長の可能性あるとのことです。

バングラデシュのグラミン銀行によると、銀行の基準を満たす人の約94%は女性であるとし、借り手は約98パーセントの割合で返済を続けるとしております。同行は月に180万の貧しい借り手に3000万米ドルを貸し付けているとしている。

そういう可能性を秘めたマイクロファイナンスですが、インドでは破綻するのではないかとニューヨークタイムズが伝えています

マイクロファイナンスで行う融資の80%、合計40億米ドルをインドの銀行が出資しているようなのですが、高金利に対して支払いの義務はないとする地元政治家にのせられて融資を受けた人たちの返済が滞っているため、危機的状況が迫っているとしています。

元々NPOなどがマイクロファイナンスを行っていたのですが、近年ベンチャーキャピタルや世界銀行が収益を上げながら融資を行う方法をインドで模索していたそうです。インド以外でもアジアや南米やアフリカ等でも同じように収益をあげる方法でマイクロファイナンスによる融資を行う会社が増えてきたとしています。

返済能力が低い貧しい農村の人々に高金利で融資を行い、それによって毎年収益を倍増してきた会社もあるとしています。しかし返済に困って自殺する人が増えたりしてしたことで、インドのマイクロファイナンス融資の1/3を占めるAndhra Pradesh州では先月、議会が融資と返済の方法を厳しく制限する法律を通しました。これによって20億米ドルの返済が滞っているとしています。さらに、他州でも融資や返済も難しくなってきているとしています。

この問題が続くようだとインド版サブプライム問題に発展するのではないかと懸念されています。

SKS Microfinanceの上場がマイクロファイナンスへの逆風が強くなったきっかけではないかとされています。ショージ・ソロスやサンマイクロシステムズの創業者の一人Vinod Khoslaなどが出資するSKS社は8月に上場した際に3.5億米ドルを集め、同社会長のVikram Akulaは1300万米ドルを儲けたそうです。

今回のサブプライム問題化への懸念に対して同様の融資を行うBasix社会長のVijay Mahajanは、返済能力を超えた借り入れをしているのは全体の20%とし、さらに問題があるとするのは全体の1%前後だとし、問題が拡大する可能性は少ないとしています。

高金利という問題はあるかもしれませんが、研究では、8年間融資を受けずに貧困から抜け出せたのはわずか4%されているが、グラミン銀行から融資を受けたもの内48%が貧困ラインを抜け出すことができたとしている。

善意で貧しい人を救うのは難しいかも知れませんが、資本主義がきちんと機能すると効果があるのかも知れません。

2010年11月18日木曜日

中国バブルが熟熟に熟して派手に弾けるとき

みなさまこんにちは!明日は千葉でゴルフコースをラウンドするためブログが更新できないと思いますので、今日は少し長めに書かせていただこうと思います。

本題の前に、昨日のブログでお伝えしましたがアイルランドがIMFとEUからの経済援助を受けるかどうか、そしてこの問題がアイルランド以外に飛び火するかが注目されています。このことについてブルームバーグでは「マーケットがアイルランド食べ尽くしたら、次はポルトガル、そしてスペイン、そのあとはイタリアとフランスと渡りいくだけである。1つ国を救う度にドミノが倒れる、その度に断層線が広がり、最終的にユーロが取り払はらわれるまで続く」としています。

さらに、「ユーロは面白い試みだったが結果として間違っていた。それは、参加している経済があまりにも違いすぎて、一つの中央銀行がすべての経済をマネージするのは無理があったのである。金利はそれぞれの国によって差が生まれるのである。その症状はいろいろな形で現れる、ギリシャは財務、アイルランドは銀行、スペインは住宅、ドイツは巨大な貿易黒字。でも川がいずれ海に流れ着くように、問題はいずれ現れる」としています。

というわけで、ユーロの問題は長らく続きそうな予感がします。

それでは本題の中国に入ります!

今の中国経済に関しましては大きく分けて2つの意見があります、一つが、中国の経済成長には不可能という言葉がなく、このまま成長し、近いうちに世界第一位の経済大国になるという意見、これはどこかで聞いたことのある話で、誰も日本の経済成長を信じて疑わなかった80年代の日本の状況と同じです。もう一つが、中国は熟熟に熟している巨大なバブルで、今にも弾き飛ぶという考えで、80年代後半の日本の状況に近いということから、バブルが近々弾けるという意見です。

結果がどちらになろうとも、今の中国経済が過熱しているのは明らかだと思います。中国政府がきれいにこの熱を冷ませるか注目され、その冷まし方次第で世界経済に大きな影響を与える可能性があります。

そういう中で、ここ最近、中国株が下がっています。その要因の一つがゴールドマン・サックスと野村証券が中国から資金を撤退すべきという内容のレポートを出したからとされています。彼らがあげている一つの理由が、ここ最近の物価上昇、インフレのためです。インフレが原因で中国政府が近々熱を冷ましに入るのではないかということのようです。

このインフレについて、フィナンシャルタイムズの記事では、原料価格の上昇から、北京のビッグマックの価格が最近14元から15元になったそうです。食料などを中心に物価が上昇していることから、中国政府が価格上昇を制限する強行処置をとるのではないかとするものの、以前の事例からすると効果は薄いとみられることから、今後預金者は土地や株などの資産購入へ走る可能性があるとしています。

さらに、ブルームバーグによると、野村証券のレポートにも中国政府が食料の価格上昇にキャップをかけるのではないかとしています。10月の物価上昇率が4.4%と予想されています。このため、10月19日に0.25%上げ、5.56%となった金利を最短で11月19日に再度引き上げるのではないかとしています。

今の中国の状況について、ニューヨークのヘッジファンドKynikos AssociatesのJames Chanosは、近々中国の土地バブルが派手に崩壊すると、フォーチュンの記事が伝えています。この記事について少し詳しくお伝えしたいと思います。

James Chanosはエンロン、タイコやサブプライムの空売りで、崩壊の時に大もうけをしたことで有名です。そのチャノス氏は先日アメリカのテレビで中国経済のことを「ドバイ×1000倍」とし、さらに「地獄へまっしぐらに向かっている」としていて、当然ながら中国をショートしているそうです。

彼が、中国をショートしようと考え始めた理由が、2009年にコモディティと鉱物の株を調べていたら、毎回中国の建設に行き着いていたからだそうです。そしてある日、アナリストの話を聞いていると、そのアナリストは「中国では新たに50億平方メートルの住居とオフィスを造っている」と話したそうです。それに対してチャノスは「小数点の間違いでは?」と言ったが、間違いではなく、計算をすると、300億平方メートルの新しい建設物があることがわかり、中国の人口が13.3億人であることから、中国のおじいちゃん、おばあちゃん、大人、子供を含む全国民一人に対して約3平方メートルが与えられる計算になる。それを考えたとたん、中国はこれまで人類がやってこなかったことをやっているのだと思った、としています。

そのチャノスですが、これまで中国に行ったことがないそうですが、その理由が「行ったら、投資家が謎の地震で一人死亡、とニューヨークの新聞の見出しになる」からとしています(笑)。

また、土地価格のデータは中国政府のデータや自社でデータベースを開発したとしていて、自分たちが聞きたい情報だけで判断はしていないとし、これについて「私はエンロンで働いたことがないので、データは作り物ではない」としています(笑)。

中国では固定資産への投資がGDPに占める割合が60%だそうです。さらに新規の不動産販売がGDPに占める割合が14%だそうです。この理由についてチャノスは「中国の個人投資家は人民元をどこに置くか制限されている。インフレ率が3%前後だから、銀行に入れてマイナス利回りで損をするか、ボラティリティが高い証券市場に入れるかしかないため、不動産しかオプションが残らないのである」としています。

中国に多くの住宅やオフィスが空のままになっていると以前このブログでもお伝えしましたが、チャノスはこれについて「これは大きな問題であり、新たな物件が作られるにつれて今度ますます悪化していく」としています。

チャノスはさらに「ドバイの建設ブームのとき、100万ドルのGDPに対して240平方メールの土地が開発されていたが、今の中国の割合はドバイの4倍である。この結果がどうなるかこれまで幾度となく見てきている、例えば数年前のドバイ、90年代後半のタイやインドネシア、そして80年代後半の日本のように」としています。

中国不動産はレバレッジされていないからバブルが弾けたとしても大丈夫だとよく言われています。CLSA証券によると中国で販売された住宅のうちローンで購入されたのは40%だとし、その場合でも30%の頭金が支払われているとしています。

しかしながら、中国商業銀行の融資のうち11%はLGFVと呼ばれる地方政府の投資会社に充てて行ったものであるとチャノスは言います。このLGFVのバックは政府のため、融資された資金の多くはレバレッジをかけられて、不動産投資に使われているとしています。ノースウェスタン大学のビクター・シー教授の調査では、これらLGFVは2004年から2009年にかけて1.6兆米ドルの新規融資を受けたとしています。中国政府の調査で融資のうち26%がハイリスクとしている、そうです。

今の中国経済はただ過熱していて今後ますます成長するのか、それともバブルのまっただ中で今にも弾けそうなのか、その答えはこれからの世界経済の状況と、中国政府の対応次第だと思います。ただ、日本経済の10倍の規模がある経済が、このまま成長したら大変なことになりますし、派手に弾けたらこれもまた大変なことになります。みなさまはどちらだと思いますか?

2010年11月17日水曜日

EUとユーロとアイルランドとIMFとアメリカの関係

ここ最近このブログでは日本経済や中国のことを多く書いていましたので、今日はヨーロッパに目を向けたいと思います。先日もツイートしたのですが、ヨーロッパの財政問題がまた脚光を浴びています。


ユーロには問題がたくさんあります。EUでユーロを通貨としている各国間で現在の景気に対する考えに溝があります。まず、ドイツや北欧などの国は輸出が好調で景気がいいです、反対にアイルランドやスペインなのでの国は失業率も高く、景気が悪いです。


普通、日本やアメリカなどの場合、中央銀行は景気がいいと金利を上げ、景気が悪いと金利を下げます。また、景気が悪いところで失業している人は、景気のいいところに行って仕事を探そうとします。


でもユーロの場合、景気がよかろうが悪かろうが、金利はブリュッセルで一律に決められ、しかも、仕事を探すための人の行き来はできないのです。


さて、アイルランド。アイルランドが実質のデフォルトをするのではないかという心配から2ヶ月ぶりのユーロ安になっています。なぜこのような問題になったのか、今の状況を簡単に:


• アイルランドは自分で金利を決定できないため、ユーロ圏の高い金利が当てはめられている。
• アイルランドの金融機関の自己資本が低く、将来ファイナンスできなくなることで預金を保証できなくなるのではないかという心配がマーケットで広がる。
• これら金融機関をファイナンスするために、アイルランドが資金を出す必要があるのではという心配から、マーケットがアイルランド国債の利回りをつり上げる。
• 利回りが高くなったせいでアイルランドは銀行をファイナンスするためのファイナンスができないのではないかという心配が今あるのです。
• ファイナンスできなくなったアイルランドはEUやIMFからの制限付きの融資を受け入れることになってしまいます。
ロイターによるとアイルランドのレニハン財務相は、ユーロ圏財務相会合後に記者会見し、「アイルランドの銀行システムの問題解決に関する支援策は大変歓迎する」としながらも、金融支援策については「不可避とは言えない」と述べた。としていて、依然資金援助を否定しています。


アイルランドが否定している理由には、資金を受け入れると資金の使い道や景気対策や給与の削減など、いろいろと制限が与えられるためです。今年始めにギリシャが資金を受け入れましたが、その際にもデモや暴動が起きました。


ガーディアンによるとEuropean CouncilのプレジデントのHerman Van Rompuyは先日ブリュッセルで「我々は生存危機にある。ユーロゾーンを生存させるためには我々は共に進まなければいけない。もしユーロゾーンがだめならば、EUもの生存ができなくなる」とし、ユーロとEUが危機的状況になることを示唆しています。


このように銀行の問題が国の問題となり、それが他国にも飛び火しつつあります。この流れを引き起こしているのはマーケットです。マーケットがお金に流れを作り、弱っている国を「攻撃」していることになります。


ウォールストリートジャーナルによると現在想定されているアイルランドへの援助の規模ですが、金融機関への資金が450〜500億ユーロ、アイルランドへの資金が800〜1000億ユーロとしています。この資金は、EU、イギリスとIMFが分け合うとしています。


ここには問題が一つあります。IMFの20%はアメリカが保有しているということです。アイルランドへ1500億ユーロだとして、1/3の500億ユーロをIMFが出したとして、その20%の100億ユーロをアメリカが出資することになります。でも、先日共和党に惨敗したオバマ政権が国内の反対を押し切って資金を出せるのかどうか注目されます。


もし、仮にオバマ政権がアイルランドへ資金を出さないと判断した場合、マーケットは次に攻撃を仕掛けます。このまま連鎖が続くとアイルランド→ポルトガル→スペイン→イタリア→?、というふうに一度お金の流れに勢いが付き、連鎖が始まると止めるのが難しくなります。どうなるか、目が離せない状況が続きます。


http://www.nytimes.com/2010/11/16/business/global/16euro.html

2010年11月15日月曜日

APECでの日本の存在感


昨日APECが終わったことで、神奈川と東京に地方から配属されていた警察の方々も地元に帰れて、都内近郊の検問や交通渋滞が緩和されることになると思います。

横浜で行われました会議の内容が少しずつメディアで記事になっています。まず、その中でニューヨークタイムズの「オバマと太平洋地域のリーダーたちが自由貿易に向けて努力することを話し合う」とフィナンシャルタイムズの「アメリカの太平洋地域での危機」という2つの記事が気になりました。

何が気になったかというと、世界で最も影響力のある媒体でAPECでの会議を総括する記事の中で、どちらの内容にも日本のことが何一つ書かれていないということです。

まぁ、厳密にいうと、ニューヨークタイムズの記事には、記事の書かれた場所が「YOKOHAMA, Japan」だということ、それから、オバマ大統領が鎌倉の大仏を見物しに行ったことがわかるので、日本のことは書かれてはいます。

でも、ロシア、中国、ブルネイ、インドネシアなどの国についての記載はありますが、それ以外、どちらの記事にもホスト国の日本のことについて全く書かれていません。ましてや、菅直人のことは一言もありません。リーダーシップがなかったのなら、そのことですら書かれていません。

このことについてあまり深く考えないようにしますが、とはいえ、日本の威厳がなくなってきていると感じましたが、そう思うのは私だけでしょうか?

続いて、オバマ大統領が飛行機の機内で記者の質問に答えた内容がタイム誌に掲載されていました。その中でオバマ大統領は、

ここ数年アジアにおけるアメリカの立場が難しかった時期が続いていて、アジアが前進していく中でアメリカが忘れられていたようである。しかし、アジアの人々や首脳からは、アメリカの存在が必要だという声を聞いている。

そして、次に感じたのが、彼らは前進しているということ。韓国、中国、インド、と東南アジア、あと日本、彼らは皆競争が厳しくなっているということを認識していて、日々どうやって労働人口を教育し、インフラを整備し、新たなマーケットに参入するかを考えている。我々も競争で対抗できると信じているが、もう一歩力を入れ、努力する必要がある。

競争がいいか悪いかといえば、競争しないにこしたことはないですが、競争力のない国は忘れ去られてしまうことは歴史が示していますので、忘れ去られたくなければ競争するしか道がないと私は思っています。ということは、日本も「もう一歩力を入れ、努力する必要がある」と私も思います。

日本の第3四半期のGDP成長率が思いのほか良く、前期比0.9%成長、年率で3.9%の成長と予想を上回る成長となりました。主な要因は企業と個人の消費の拡大のようです。GDPの約60%を占める個人消費が、エコカー減税の終了前の駆け込み需要やタバコ増税前の駆け込み需要など一時的な要因によって、前期比1.1%伸びました。

成長の要因が駆け込み需要ということや失業率が高いことや円高などによって、この成長は第4四半期までは続かないと、アメリカABCの報道ではされています。また、時事通信には海江田万里経済財政担当相の話として、「10~12月期GDPがマイナス成長に陥るとの市場予測に関しては「そうならないよう一生懸命にやっている」と述べた」としている。

相変わらず、日本の景気は難しい状況にあるようです。

2010年11月12日金曜日

続:TPP

その前に、面白い画像がありましたのアップします。英語で作られていますが、内容はアメリカ人から見た世界地図というもの。何とも単細胞ですが笑いました。日本のことは「エロいビジネスマンがいるところ」、ニュージランドは「ホビットが住むところ」、中国は「安いものと弾圧するところ」、としています。



昨日品川駅を歩いていたら、警察の方々でいっぱい、ざっと100人以上はいたと思います。町が安全で安心安心。あれだけいれば痴漢もスリも少なくともあと一週間は引きこもるだろうと思いました。ということで、APECが始まりますのでTPPのことが海外にメディアでもたくさん取り上げていて、その中でニューヨークタイムズには日本に関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。タイトルが「保護関税維持に向けて戦う日本の農家」と題したニューヨークタイムズの記事、この中で面白いデータがいくつかありました。

– 日本の消費者は世界の平均と比べ
▶お米に支払う価格は4倍
▶砂糖、バター、牛肉に支払う価格が3倍
▶小麦に支払う価格は2倍
– 共同通信の調査によると、予想通り46.6%の回答者が日本がTPPに加入すべきとし、反対の38.6%を上回っている。
– 輸入米には777.7%の関税がかけられている。
– 小麦には252%、バターには360%、砂糖に328%、牛肉には38.5%の課税がされている。
– 経済産業省によるとTPPに加盟しなければ、輸出関連企業が海外に生産拠点をシフトするということから
▶GDPが1.5%、10.5兆円減少する
▶800万の仕事が失われる、としている。
– 農業や鉱山などの1次産業のGDPの割合は1.5%である。
– 日本の選挙区の分布が古く、農業が政治に与える影響が強い。
– このため、民主党の大きな割合の議員がTPPに反対するよう働きかけている。
– しかし、関税や効果の少ない助成金のせいで生産力やイノベーションへの報酬がなく、農業の競争力が弱まったとする農家もいる。
– また農地を統合しようとしても、取引の費用が高いため、農地がばらばらになったままである。
– 政府によると、日本の農地の広さは平均1.9ヘクタールであるが、アメリカの場合は198ヘクタールである。

このように歴史的に守られてきた農業は非効率になってしまいました。景気が良くお金もあった時代なら養えたとしても、今の日本は借金が膨大になり、人口が減り、デフレ、給料が減っています。農業の問題よりもほかに重要なことがたくさんあると思います。

確かに食料受給率は重要だと思います。そのためには、だれにとってもマイナスな農業の「保護」より「競争力を強化」考えるべきであると私は思います。そして多くの人がいう「じゃ、まずどうやって強化をするか議論をしてから自由貿易に参加しよう」といいます。しかし、いつになるかわからない議論をするより、まずはTPPに参加をすべきではないかと思います。

先に参加してしまうと、日本の農業が衰退するという意見がありますが、私はそうならないと思います。日本の農家がより自由に農業ができるようになり、例えば農地の拡大がし易くなったり、好きな農産物を好きなだけ作れるようになれば、ビジネスチャンスだと思いいくらでも農業を始めよう・拡大しようとする人が現れると思います。

いずれにしましても、韓国と中国は日本がTPPに参加してくれないことを願っているようです。

ちなみにそういう中国の10月のインフレ率が4.4%となり、9月の3.6%よりだいぶん高くなったようです。中国政府が好景気熱を押さえられるかどうか…

また、アイルランドの財政問題が再熱しています。そのせいで最近、債券の金利が高くなっていたり、アイルランドの銀行が借入金利が高くなっていたりしています。そして、近々IMFやECBから支援を受け、実質デフォルトするのではないかと懸念されています。

2010年11月10日水曜日

TPPから見るジャパン・ナッシングとヘリテージ財

ちょっと話題に乗り遅れた感がありましたのでこれまで書きませんでしたが、今朝「書いては?」とツイッターでネタ提供を頂きましたので、今日は今話題のTPPに関して書かせていただこうかと思います。

このブログでも何回か書かせていただきましたが、今、日本が経済的な極地に置かれている大きな要因の一つが競争力の低下だと思っています。厳密に言うと競争力のある経済と競争力のない経済に二分していると思います。その二つが相殺した結果、日本全体の経済は弱くなっているのだと思っています。

まず、競争力のある経済は主に輸出関連企業です、その理由は長年に渡って海外企業と戦ったことにより経験です。反対に競争力のない経済は日本国内をマーケットとしてきた内需型企業です、特に農業やサービス関連企業となります。

競争力の高い企業や業種は「開国」を望み、競争力の低い企業や業種は「鎖国」を望む。

TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)に関しては最近メディアで散々取り上げられていますのでご存じだと思いますが、簡単に言いますと「数カ国間で自由に貿易をする」というもの。

この協定に日本が参加すると、開国を望む人や企業にとっていいのですが、鎖国を望む人や企業にとって悪いことです。

そのTPPについてウィキペディアによると、「20065月にシンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの4カ国加盟で発効した経済連携協定。加盟国間の経済制度、即ち、サービス、人の移動、基準認証などに於ける整合性を図り、高い水準の関税撤廃をめざしている」としています。

この様に、TPP2015年までに関税の完全撤廃を求めているため、日本だけでなく参加する国にある関税によって守られている企業や業種は痛むことになりますが、反対に今まで関税によって損をしていた企業や業種にとってはうれしいことになります。

さらにウィキペディアでは、「2010119日、菅内閣は関係国との間での経済連携強化に向け「国を開く」という観点から、農業分野、人の移動分野および規制制度改革分野において、適切な国内改革を先行的に推進すると閣議決定を行った。与野党でも賛否両論の中核である農業分野は関係大臣からなる「農業構造改革推進本部(仮称)」を設置し、20116月をめどに基本方針を決定する。さらに情報収集を進めながら対応していく必要があり、国内の環境整備を早急に進めるとともに、関係国との協議を始めるとしている」としています。

要するに、開国すると農業分野で特に痛みを伴うことになるので、20116月までにどうすればいいか考えようということのようです。でも来年11月にはTPPの交渉は終わる予定です。ということは、日本は来年6月にどうするか基本方針を決めて、5ヶ月間かけて10カ国以上の国と詳細について交渉をし、参加の有無を決めるそうです。

日本の政治家は玉虫色の決着を好みますが、今回の場合、交渉に与えられた時間が無いうえ、協定の趣旨が関税を撤廃して開国をするか、関税を維持して鎖国をするか、どちらかの選択筋しかないのです。

「ネックは主に農業問題だが、農業関係者も何が何でも反対というひとばかりではない。これを機会に、自立した農業を目指す機運も高まっている。戸別所得補償制度を上手に使えば自由化の風波を軽減し、農業の競争力強化も展望できるはずだ。

政府は菅首相を議長とする「農業構造改革推進本部」を設置し、来年6月をめどに農業再生の基本方針をまとめる。これは事実上TPP対策でもあり、その内容とタイミングがTPP参加のカギだ。必要な農業保護はしなければならず、それなりの予算措置は当然だ。しかし、かつてコメの関税化に際して6兆円もの予算をつけながら、農業土木に費消してしまった苦い経験がある。その愚を繰り返してはならない。

時間的余裕はあまりない。米国は来年11月にハワイで開かれるAPEC首脳会議で、TPP交渉の終結を宣言する意向だ。9カ国のうち1カ国でも反対すれば「参加」は認められない。そしてTPPを日本にとってメリットの多いものにしようと思えば、できるだけ早く参加してルール作りに加わる必要がある。そのためには国内調整を急がなければならない。「政治主導」の正念場だ。

私の家では当然コメを食べますが、買うときはオンライン通販で直接農家から買っています。オンラインでお米を売っている農家がどれだけいて、どれだけの人が買っているのか分かりませんが、少なくともそこにはマーケットがあり、アイディア次第でビジネスを拡張する余地がいくらでもあると思います。極端にいえば、関税が無くなることでオーストラリアからお米が入ってくるのであれば、オーストラリアへの輸出関税が無くなるのだから、日本の農家がオーストラリアの農家に勝る何かがあれば、オーストラリアにお米を輸出することができるわけです。

そう言う中でProject Syndicateに「江戸時代を夢見る日本」というGuy Sormanの記事で、猪瀬直樹副都知事の「新江戸時代論」というものを取り上げています。それは、減少する裕福な人口が伝統と再びつながり、ゼロ成長をするというもの。日本のことを非グローバライゼーション化と呼び、非現実的な夢としています。日本が江戸時代の夢から早く目覚めないと中国帝国の一部になりかねないと、警告を鳴らしています。

よく議論で、日本は世界と競争しなくてもいい、競争力が無くてもいい、と聞きます。これはこれで一つの考え方であり、まっとうな議論だとは思います。しかし、日本が競争したくなく・その気がなくても、世界は勝手に競争し、競争力を高めています。

この様な状況が続くと、競争力のある企業や業種が競争力のない企業が業種を食べさせていくことになります。社会保障と一緒です、もし政府が現状を維持するために税率を倍にしますと言ったらどうされますか?日本国内の競争力がある企業や国民はどんどん海外に出ていくと思います。そうなれば日本は益々弱くなり、ジャパン・パッシングどころかジャパン・ナッシングになりかねません。

今の日本の現状について、米国政府の政策決定に大きな影響力を持つとされるヘリテージ財団119日にリサーチペーパーとして発表していましたのでご紹介したいと思います。タイトルは「オバマ訪日で日本にあまり期待してもだめ」というもの。

-       APECによって東京の地域におけるリーダーシップを示すことや菅内閣の支持率暴落を食い止めるものと期待したが、その可能性は無くなった。
-       それよりも、民主党は臆病な外交政策が中国とロシアの冒険主義を勢いづかせてしまい、このことに対する批判にさらされている。
-       そして、民主党は日本の安全を保証していたアメリカを疎外してしまったことで日本は今、危険な海を漂流している。
-       民主党の経済政策もまた無能である。それは、オバマ政権が重要視するTPPに対して、民主党は参加すると発表出来ず、単に「さらに情報を集め、議論をし、参加するかしないか決める」とし、リーダーシップを示しているとは言い難い。
-       オバマ大統領は菅総理に対して北朝鮮や中国の脅威について話をし、安全保障に関する二国間同盟の重要性について認識させる必要がある。
-       ワシントンは日本にあまり期待しても仕方がない。日本が尖閣諸島で中国ともめていた時、アメリカは日本の安全保障を約束したにもかかわらず、民主党は中国のプレッシャーに屈したのである。
-       しかし、去年政権を取ってから荒々しかった外交政策も、最近少しずつそうではなくなり、そのひとつが前原外相となったことでより現実的な政策を進める可能性があることである。
-       民主党政権は少しずつアメリカとの関係を修復しようとし、正しいことを言うようになってきたが、沖縄の知事選挙が終わるまで具体的な動きをしないようである。
-       沖縄の海兵隊再編問題が解決しなかったからオバマ大統領と菅総理とのサミットのあとの記者会見で安全保障に関する共同声明が無かったのである。
-       今回のオバマ大統領のアジアツアーの中でもっとも何も期待できないのが日本への訪問である。
-       ただ、日米同盟は太平洋地域におけるアメリカの戦略にとって最も重要であるとともに、地域の安定にとっても重要であるため、オバマ大統領が日本のリーダーと連携するのは重要である。
-       アメリカの対中政策へのヘッジとして日本は最重要であり、オバマ大統領はこの解釈をおろそかにしてはいけない。

としていますが、なんともアメリカ政府にとって民主党政権はやりにくい相手であるということが見えてきます。

日本も早く現実路線に戻り、競争力を付け、威厳がある国に戻り、ジャパン・ナッシングとならないようにしてほしいと強くに思います。

2010年11月9日火曜日

越印豪米対中露で日は?

アメリカのアジア太平洋地域での活動が活発になっています。今のこの地域の状況を簡単に言うと、中国が領土と影響力を拡大しようとすることで反発が起き、それによって真空が生まれ、そこにアメリカが入ろうとしています。

「そして最近は中国が経済的に飛躍してきて、軍事力も強化する中で、半信半疑ながらも中国に近寄る国が増えていました。考え方としては「アジア太平洋地域の安全保障はアメリカが守るものではなく、中国も含めてみんなが協力して維持していくもの」というものでオーストラリア、タイ、インドネシア、フィリピン、日本(民主党政権になって特に)も含めてアメリカ寄りから中国に軸足をシフトしていたのです。

これは中国の狙いで、アメリカ軍存在を無くさない限り、いつまでたっても理想の影響力をアジア太平洋地域で発揮できなかったのです。しかし、今回の件で、中国が強硬姿勢を取ってしまったことで、中国に向かっていたアジア各国の軸足が再びアメリカに戻る可能性が高いと思います。

116日からオバマ大統領はインド、インドネシア、韓国、日本の4カ国を約1週間かけて訪問する予定。このことについて朝日新聞では「ホワイトハウス高官は「歴訪先がいずれも民主主義国なのは偶然ではない」と話す。対中外交の山場となる年明けの胡錦濤(フー・チンタオ)中国国家主席の公式訪米を前に、同盟国や新興国と「共通の価値観」に基づく連帯を示し、中国の覇権拡大を牽制するのが狙いだ。国家安全保障会議のベーダー・アジア上級部長は「中国の台頭は各国の関心事」とし、対中政策が話題になると語った、としています。

そしてクリントン国務長官とゲーツ国防長官もまた昨日まで10日かけてハワイを経由してベトナム、中国、カンボジア、マレーシア、パプアニューギニア、ニュージランドそしてオーストラリアを訪問。オーストラリアの新聞シドニーモーニングヘラルドには「中国が脅威であることを認めるラッド外相」にもあるように、アジア太平洋地域における中国の脅威について話し合ったことを認めている

この展開でもっとも好影響を受けているのがベトナムだと思います。ヒラリー・クリントンは4カ月の間に2回訪れていて、日本もまた10月末にはレアアースの共同開発などに合意しており、ベトナムの戦略的重要性が増してきています。
Washington Postで「ベトナムが中国に対抗する歴史的転換」とThe Diplomatで「なぜ中国は孤立しようとしているのか?」と今のベトナムの状況について面白い記事を発見しましたのでご紹介したいと思います。

まずワシントン・ポスト:
-       ベトナム軍事博物館で3週間前からアメリカとフランスとの戦争に関する資料や兵器などが展示されている。
-       それとともに1077年、1258年、14世紀、18世紀に起きた中国との戦争に関するものも展示されている。
-       中国が西側戦略者と同じ扱いにすることができたベトナムにとつて、心理的に大きな意味を持つものである。
-       それは反対に中国にとって大きな問題である。
-       中国の最近の威圧的姿勢の影響から、中国共産党はベトナム共産党とっての良きパートナーから長年の北の帝国になりつつある。
-       そして今、ベトナムは歴史転機として中国の脅威に対するヘッジとして、世界と仲良くなろうとしている。
-       そのひとつがアメリカである。
-       ベトナムの国防長官代理のNguyen Chi Vinhは「新しい友達ができることはいいことだ。それが昔の敵であるならば特にいいことだ」としている。
-       ある元高官は「アメリカは昔中国の脅威からベトナムで戦争をしたが、アメリカは今中国の脅威からベトナムと仲良くしようとしている」と言う。
-       作家のBao Ninhは「ベトナム軍の人間に聞いても中国よりアメリカが好きだと言うと思う」としている。
-       しかし、ベトナムは中国の気分を乱しすぎないよう、反中の新聞記事の掲載などを制限している。

ザ・ディプロマットでは:
-       ベトナムのNguyen Tan Dung首相はCam Ranh Bayにある港を再開し、外国の軍艦や潜水艦などにサービスを提供すると発表した。
-       尖閣諸島で中国と日本が口論しているが、これについて中国誌のGlobal Timesは前原外相のことを過激派とし、論説で「中国のこれから上昇は不可避なものであり、前原は日本をこの波に逆らおうとさせてはならない、もしそうなった場合には日本は耐え難い状況になりかねない」としている。
-       中国が日本を攻撃している間、ベトナムはレアアースの開発で難しい立場にある日本と提携することを発表した。
-       中国の強硬姿勢がアメリカをアジア太平洋地域により強く結び付けている。
-       明らかなのは、アジア太平洋地域の領土問題によって地域の結びつきを悪くしているのが日本のせいであるとする中国の考えは理由にはならない、もし尖閣諸島の問題で中国が孤立するのであれば、それは中国自身のせいある。

この様にベトナム、インド、オーストラリア、アメリカなどの国が対中国で結びつきを強くする一方で、中国はロシアとお結びつきを強化しているようです。

新華社通信では「中国ロシア、軍事的約束」とし、両国の軍幹部が北京で会談し、戦略的な提携を進めるとしています。

さらにAsiaNewsでは「太平洋優位性確保対日本ロシア中国協力」とし、北と南から日本を包囲しようとしているとしている。

このような状況で日本はというと、菅総理ないとする流出ビデオの犯人探し、挙句の果てには身内の田中真紀子から「首相は力量ない」始末。それでも菅総理「石にかじりついても頑張る」そうです。

そろそろ野党に慣れてきた自民党も足を引っ張るだけでなく、民主党とともに、日本の将来の「戦略」というものを本気で考えてもいい時期に差し掛かっているような気がします。

2010年11月8日月曜日

パーソナル・ブランディング=自分をさらけ出す

以前にソーシャルメディア=パーソナル・ブランディングという記事を掲載しました。これを読んでいただいた方が結構多かったようで、レスも多く頂きました。ありがとうございました!

ブランディングというのは今までは敷居が高くて、大企業などが行うものだと思われてきました。でも、技術が進歩するとともにコストやノウハウなどのバリアが低くなってきます、それによって今までは土俵に上がれなかった人や中小企業なども上がれるようになってきました。

パーソナル・ブランディングを行う上でツイッターやフェースブックなどのソーシャルメディアを活用することが重要だとお伝えしました。そして、自分で自分のプランディング、パーソナル・ブランディングをしないといけない時代になり、やっていない人は仕事に就けなくなるかもしれないとお伝えしました。中小企業もまたブランディングをすることで顧客ベースを伸ばせますが、しなければ顧客が来なくなるかもしれません。

なぜそうなるかと言いますと、パーソナル・ブランディングをすることによって信用・信頼が得られるからです。その人や企業がどういう人で・考えを持ち・価値観なのか、等を簡単に把握できるようになります。反対にしてない人や企業はどういう人で・考えを持ち・価値観なのか、等が分からないので、顧客は分かる方へと流れていってしまいます。

それでは具体的にどうすればいいのか、何をすればパーソナル・ブランディングを構築して自分の「価値」を高めたり、顧客を増やしたり、できるのか?

アメリカは日本よりブランディングやマーケティングが発展しています。そして、面白い人間がたくさんいます。その二つが合わさると結構面白いアイディアが生まれています。

例えばこのスコットという人。このスコットは四六時中、毎日どこに行こうが、誰に会おうが、外出するときは常に「Scott」という名札を左胸につけています。日本でやったら「変わった人」や「ちょっとしたおバカさん」になってしまいますが、アメリカでは「Scott the name tag guy」というれっきとしたあだ名がつき、ブランディングされています。

例えばこのジェーソンという人。このジェーソンは広告費をもらってTシャツに広告を載せ、毎日着て歩いて回っているのです。これで年収1000万円らしいです。

例えばこのBlendtecという会社。この業務用ブレンダーを作っている会社、あまり売上が高くなかったそうです。つい数年前までは。ブレンダーってあまり面白い業種とは言い難いですし。で、どうマーケティングすればブランドが高まるか、そこで考え付いたのがとにかく何でもブレントしてしまうビデオを作り、YouTubeに載せること。それがバカ受けの大ヒット、そこからこのWill It Blend」というこのサイトができました。とにかくおバカ、でも面白い。



この様にパーソナル・ブランディングはお金がかかりません、その分難しくもあります。でも、うまくやれればブランドが確立し、価値が生まれます。

それでは、どうすればいいのか?何が必要なのか?

まず、「自分が誰であるか」や「自分にはどのような価値があるのか」や「自分はどういう考え方を持っているのか」などを理解していることが大事だと思います。

ただ、単純に自分の過去の経験や製品をブランドしても「価値」にはなりません。

例をあげますと、ナイキ。ナイキは靴やスポーツウェアを売っています。でもブランド価値として、ナイキは「勝つこと」を売っていると思います。

ルイ・ヴィトンはカバンやアパレルなどを売っています。でもブランド価値として「ラグジュアリーな世界」を売っていると思います。

デビアスはダイアモンドやジュエリーなどを売っています。でもブランド価値として「フォエバー」を売っていると思います。

そして、何をするにもその価値を常に信じてことだと思います。

自分を探しだした後、最後にもっとも重要なことが残っています、それは他人に自分のことをさらけ出す勇気だと思います。