家計や企業の設備投資や税制では経済的に強まりつつあるものの、住宅価格や失業率や消費者支出が弱く、アメリカ経済全体を脅かすリスクが引き続きあるという認識を示していました。
LA Timesの記事の中で、シカゴのMesirow FinancialのチーフエコノミストDiane Swonkが「昨日のスピーチで量的緩和を行うことが明確になった」が「どれだけの規模になるかは不明確であるが、我々は1兆ドル規模になると予測している」としています。
10月14日の「通貨戦争とその結末」と題したブログで私は「11月行われると言われている量的緩和は一世一代の大チャンスであり、目的が達成されるまで続けると思っています。それが世界にどのような影響を与えようがおかまいなしに。そうすると円は強まる一方です。」と書きました、それを裏付けるようなバーナンキのスピーチだったと思います。
そのスピーチでは
- なぜインフレ率が2%以下ではだめなのか?
- なぜインフレ率を上げることが失業率の削減につながるのか?
- 今後の為替相場やドルへの影響は?
- 金やコモディティの価格の上昇への影響は?
について何一つ答えていませんでした。
要するに、FRBはアメリカ経済をいかにして膨らませるか、そのためにはドルをいくらでも印刷する覚悟があるのだと思いました。世界がどうなろうが、各国がどうしようが、それはバーナンキ、しいてはアメリカの問題ではないということだと思います。
これに関連する「なぜ現ナマを印刷することが理にかなっているか」というDean Bakerの記事がイギリスのGuardianにありましたのでご紹介いたします。サブタイトルが「赤字を気にする政治家より、偽造者が発行するドルのほうが経済にとってマシだ」という。
内容を簡単にまとめますと:
- レーガンは昔「妊娠中絶に賛成する人は生まれている」と言ったが、
- それと同じように失業率9.6%は問題が無いという政治家には仕事がある。
- 定職がない多くのアメリカ人にとって今の経済は最悪である。
- もっと悪くなっていたかもしれない経済を自分たちが救ったと、ワシントンの連中は互いを褒め合っている。
- 今の仕事の無い人々のことを考えるより先に、8兆ドルの住宅バブルも予測できなかった政治家は2018年、2020年や2025年の赤字予測の心配のほうを先にしている。
- そう言う頭のいい連中には経済学の基礎を教えないといけない。
- 今ある問題は需要の不足である。
- 財政赤字は需要が多い場合に問題となる。
- 需要不足の問題を簡単に説明すると、
- ほぼ完璧な50ドルや100ドル紙幣を印刷できる、史上最高の偽造者がいたとする。
- そしてその偽造者が2兆ドル(160兆円)を印刷して、車や家を買い、パーティや旅行をし、メイドや植木職人やファイナンシャルプランナーを雇い、あらゆるものに偽造紙幣を使い始めたとする。
- このことが経済に与える影響は?
- 今の状況だとGDPを大きく伸ばし、多くの人に雇用が生まれるであろう。だってみんな本物の現金だと思っているから。
- これが普通の経済状況ならインフレになっていたであろうが、今の需要の少ない経済だとこの様に需要が生まれる。
- この偽物の2兆ドルの話で面白いのが、偽造者がいずれ捕まったとして、長期的に見ても経済には何ら問題を与えないということである。
- 2012年まで偽札を使いまくり、その結果、失業率が減り人々の雇用が安定したとする。
- そしてFBIが偽札だと気づき、偽造者を捕まえて、偽札2兆ドルを経済から取り出して焼いたとする。
- そうした場合、必要な時に偽札は需要を生み出してインフレを起こし、経済が安定してインフレが達成されたら、偽札は取りだされた。
- 将来に財政赤字を残さずに、FRBとアメリカ政府はこの様な事をまねることができる。
- 政府は債券を買って、ホールドすればいいだけの話。
実行に移す場合には詳細についていろいろ考える必要があるとしても、考え方として「なるほど」「面白い」と思いました… 需要を生み出し、失業率を下げる働きをするであると。でも、忙しすぎて仕事を辞めたいと思う人もいれば、仕事が無くて大変と思う人。流動性の問題だと思う人もいれば、需要の問題だと考える人。経済は難しいです。
0 件のコメント:
コメントを投稿