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2010年10月14日木曜日

通貨戦争とその結末

今の状況を簡単な例にしますと、世界最大の輸出国の中国が世界最大の輸入国のアメリカの喉に安物の食べ物を押し込もうとしているのです。でも、そのアメリカはここ数十年もの間、安物をいっぱい食べ過ぎたことで肥満になり、糖尿病になり、合併症を引き起こし、重病になってしまいました。それでもなお、中国はアメリカの喉に食べ物を押し込もうとし、なおかつ、日本やドイツや韓国などの脇役も割って入ろうとしているのです。景気のいい時はワークしていたこの構図も、アメリカが重病となった今(失業率が20%)、むしろ今あるものを吐き出して・薬を投与されないといけない状況で、この構図に限界が来ているのです。

重病になってもう食べられない国(アメリカ)と、体質を変えて代わりに食べようとしない(中国)との間で通貨戦争が起こっているのです。

このようなことが続くとどうなるか、その前例が大恐慌後の1930年代の世界です。

その当時も、世界各国がいかに自国の通貨を安くして、輸出によって不景気を脱出しようかとどの国も考えていたのです。その結果が第二次世界大戦で、今もこのような状況が続くと1930年代と同様に世界戦争が起こる可能性があるのです。

よくこの話をすると、「日本の憲法が戦争をさせない」とか「あの時と比べて世界は成長した」とか言われますが、第一次世界大戦のことを何と呼んでいたかと言いますと英語で「War To End All Wars」、「すべての戦争を終わらす戦争」と。

第一次世界大戦が終わって国際連盟など世界の秩序を保つアイディアが生まれて、人類は賢くなったとその時は思ったようです。でも、それから約20年後に第二次世界大戦が開戦しました。

別に戦争が起こると思っていませんし、起こってほしいとも思いませんが、何事にも可能性があります、1ドル40円になる可能性もあれば、日本やアメリカがデフォルトをする可能性もあれば、戦争が起こる可能性もあります。

そう言う中で、フィナンシャル・タイムズのMartin Wolfどうやって頑固な中国と通貨戦争をするか」と題した記事。内容を簡単に:

-       中国と通貨戦争をすべき時期に来たか?その答えはイエスの可能性が高い。
-       中国は自国の通貨を操作しているのか?GDPの半分を外貨準備に使っていて、それが操作ではないと言ったら何が通貨操作になるのか。
-       操作をするのは問題か?世界最大の輸出国が通貨操作をしていたら当然世界貿易に歪みが生じる。
-       そのためには中国に何をしてもらわないといけないのか?それは通貨を柔軟にしてもらわなければならない。
-       それは日本と同じことをさせるわけで、1990年以降の日本と同様に失われた10年となる可能性が高いことを中国は知っている。
-       でも、Lombard Street ResearchGabriel Steinによると、当時の日本の1人当たりのGDPはアメリカに近かったが、今の中国は5分の1前後であるので、人民元が強くなったとしても、まだ成長の余地が残されているとしている。
-       最後の質問は、どのようにすれば中国の方針を強制的に変えさせることができるか?交渉の余地はまだある。それがだめなら中国製品への課税の可能性もある。もしくは貿易によって影響を受けた国は自国の通貨を中国が買えないようにする(例えば日本なら、日本との貿易で生まれた黒字部分を円建ての国債で穴埋めしようとしてもできないようにする)。
-       課税はWTOの自由貿易協定に反する可能性があるのに対して、中国が通貨を買えなくするのは問題が無い。

さらには、イギリスTelegraphAmbrose Evans-Pritchard通貨戦争必要」と題した記事があり、この中でアムブローズは:
-       ドルをほぼ無限に発行できるアメリカは、
-       中国とG20に対して、捕食習性をやめて、世界経済のバランスを再調整する打開策を話し合わなければ、
-       原爆となるQE2(量的緩和第二弾)を始めることで、
-       世界中にドルを過剰流動し、事実上の通貨切り上げを行うと宣告している。
-       世界は危険な状況に差し掛かっていて、石油やコモディティの価格が上昇して景気が悪化する可能性がある。
-       でもこれにより、70年以上「世界通貨」となっていたドルの「法外な恩恵」を手放す可能性がある。
としています。

アメリカは景気を回復させるためには何としてでも中国に通貨を流動的にさせるか、もしくはそれに近い状況に持って行かそうとすると思います。

なぜアメリカはここまでするのか、一つは、アメリカがもっとも恐れているのがデフレであり、アメリカはいま、その交差点の近くに差し掛かっていて、日本のような状況がもっとも最悪なシナリオだと考えているから。二つは、アメリカはこのままの中国を恐れていて、早い段階で変革させることで秩序を保たせたいとと考えているからだと思います。

11月行われると言われている量的緩和は一世一代の大チャンスであり、目的が達成されるまで続けると思っています。それが世界にどのような影響を与えようがおかまいなしに。

そうすると円は強まる一方です

政府民主党は円高を抑えることは出来ない、自民党であろうが公明党・共産党であろうが無理だと思います。そうなると日本はどうしないといけないか、それは円安による輸出型の経済から円高による内需型の経済に対応できるような体質を作らなければなりません。そのためには政権与党の民主党は「みんなで力を合わせて内需型になろう!頑張ろう!」、と言って選挙に大敗し、内需拡大と言う新たな道を切り開き、手遅れになる前に国民に理解・納得してもらわないといけないと思います。

しかし、日本よりもっと怖い道筋をたどる可能性がある国が中国です。日本と違って、一党独裁、政治不安、選挙が無い、少数民族が多い、貧富の差が大きいなど、追い込まれたらどうなるかわからない。例えば戦争とか。

「日本の憲法が戦争をさせない」とか「あの時と比べて世界は成長した」と初めに書きましたが、日本がそうであっても他国が同じ考えをもって土俵に上がっているとは限りません。

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