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2010年11月17日水曜日

EUとユーロとアイルランドとIMFとアメリカの関係

ここ最近このブログでは日本経済や中国のことを多く書いていましたので、今日はヨーロッパに目を向けたいと思います。先日もツイートしたのですが、ヨーロッパの財政問題がまた脚光を浴びています。


ユーロには問題がたくさんあります。EUでユーロを通貨としている各国間で現在の景気に対する考えに溝があります。まず、ドイツや北欧などの国は輸出が好調で景気がいいです、反対にアイルランドやスペインなのでの国は失業率も高く、景気が悪いです。


普通、日本やアメリカなどの場合、中央銀行は景気がいいと金利を上げ、景気が悪いと金利を下げます。また、景気が悪いところで失業している人は、景気のいいところに行って仕事を探そうとします。


でもユーロの場合、景気がよかろうが悪かろうが、金利はブリュッセルで一律に決められ、しかも、仕事を探すための人の行き来はできないのです。


さて、アイルランド。アイルランドが実質のデフォルトをするのではないかという心配から2ヶ月ぶりのユーロ安になっています。なぜこのような問題になったのか、今の状況を簡単に:


• アイルランドは自分で金利を決定できないため、ユーロ圏の高い金利が当てはめられている。
• アイルランドの金融機関の自己資本が低く、将来ファイナンスできなくなることで預金を保証できなくなるのではないかという心配がマーケットで広がる。
• これら金融機関をファイナンスするために、アイルランドが資金を出す必要があるのではという心配から、マーケットがアイルランド国債の利回りをつり上げる。
• 利回りが高くなったせいでアイルランドは銀行をファイナンスするためのファイナンスができないのではないかという心配が今あるのです。
• ファイナンスできなくなったアイルランドはEUやIMFからの制限付きの融資を受け入れることになってしまいます。
ロイターによるとアイルランドのレニハン財務相は、ユーロ圏財務相会合後に記者会見し、「アイルランドの銀行システムの問題解決に関する支援策は大変歓迎する」としながらも、金融支援策については「不可避とは言えない」と述べた。としていて、依然資金援助を否定しています。


アイルランドが否定している理由には、資金を受け入れると資金の使い道や景気対策や給与の削減など、いろいろと制限が与えられるためです。今年始めにギリシャが資金を受け入れましたが、その際にもデモや暴動が起きました。


ガーディアンによるとEuropean CouncilのプレジデントのHerman Van Rompuyは先日ブリュッセルで「我々は生存危機にある。ユーロゾーンを生存させるためには我々は共に進まなければいけない。もしユーロゾーンがだめならば、EUもの生存ができなくなる」とし、ユーロとEUが危機的状況になることを示唆しています。


このように銀行の問題が国の問題となり、それが他国にも飛び火しつつあります。この流れを引き起こしているのはマーケットです。マーケットがお金に流れを作り、弱っている国を「攻撃」していることになります。


ウォールストリートジャーナルによると現在想定されているアイルランドへの援助の規模ですが、金融機関への資金が450〜500億ユーロ、アイルランドへの資金が800〜1000億ユーロとしています。この資金は、EU、イギリスとIMFが分け合うとしています。


ここには問題が一つあります。IMFの20%はアメリカが保有しているということです。アイルランドへ1500億ユーロだとして、1/3の500億ユーロをIMFが出したとして、その20%の100億ユーロをアメリカが出資することになります。でも、先日共和党に惨敗したオバマ政権が国内の反対を押し切って資金を出せるのかどうか注目されます。


もし、仮にオバマ政権がアイルランドへ資金を出さないと判断した場合、マーケットは次に攻撃を仕掛けます。このまま連鎖が続くとアイルランド→ポルトガル→スペイン→イタリア→?、というふうに一度お金の流れに勢いが付き、連鎖が始まると止めるのが難しくなります。どうなるか、目が離せない状況が続きます。


http://www.nytimes.com/2010/11/16/business/global/16euro.html

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