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2010年12月6日月曜日

成長しきった日本と成長を続けるBRIC

日本が中国に抜かれて世界3位の経済国家になったせいかどうか分かりませんが、日本に対してネガティブな考えを持つ人が増えたと思います。例えば、日本が中国に抜かれて、これからアジアを支配するのは中国であり、日本は植民地化すると言ったような悲願的な意見など。

確かに日本では明るさが消えかけ、ものすごく暗くなっている感じがします。友達と話していても、会社でリストラを進めそうだとか、給料が減りそうだとか、明るい材料が少ないです。

その理由は政治にあると私は思っています。敗戦後間もなくは、日本国民全体が貧しかったので、政治メッセージが作りやすかったのです。政治家はただ「みんなでがんばって働いて裕福になろう」と言えば済み、そのプロセスに多少の歪みがあっても問題にならなかったのです(今の中国も一緒で、成長している間は多めに見てくれる国民も、成長が途絶えてくると国の運営は難しくなってきます、だから今のうちからどうにかしようと中国共産党は躍起になっていると思います)。

しかし、80年代に入り日本も裕福になるにつれて目標が失われ、政治家もメッセージが作れなくなったのだと私は思います。「より裕福になろう」と言っても国民は納得せず、今までがんばった分、その恩恵を受けたいと国民は思うようになった。例えば週6日働いていたのが5日になったり、ドルが高くて海外旅行に行けなかったり、海外ブランドを買えなかったりしたのが変動相場でドルが安くなったことでこれらができるようになりました。

理由はこれだけではないにせよ、政治家は将来的な目標を立てて、それを国民に伝え、コンセンサスを得るというのが大きな仕事であり、責任だと思います。今の政治家は果たしてその責任を果たしているのかどうか、大変疑問です。

いいか悪いか、好きか嫌いかは別にして小泉純一郎は、自己責任、競争力向上、アメリカ中心、郵政民営化など、日本が進むべき道を示していました。それ以降の自民党総裁・総理はそれができなかったから短命政権からついには野党となってしまった。反対に民主党はいろいろなことをマニフェストで掲げて道を示したが、結局道を示しただけで、進むことはいまのところできていないと私は思います。

そういう中でも日本に対してポジティブな記事が(珍しく)フィナンシャルタイムズにありましたのでご紹介したいと思いますが。その前に、ブラジル、ロシア、インド、中国のBRICについても大変ポイジティブな記事もありましたので、こちらを最初にご紹介します。

ゴールドマン・サックス・アセット・マネージメントのジム・オニールがBRICについてレポートを出し、フィナンシャルタイムズに記事がありましたがその内容を簡単にご紹介します。

— BRICの消費者の消費規模は2019年までにアメリカと並ぶ。
— アメリカの消費者の代わりとなり、耐久消費財、高級品、観光などの分野で成長する。
— 現在の規模は4.2兆米ドルであり、アメリカの40%に満たない。
— その中で中国が1.8兆米ドルで約半分を占めていて、ブラジル、インド、ロシアと続く。
— 世界2位の経済となった中国だが、国内の消費規模は日本の60%である。
— ただ、重要なのは将来の可能性である。
— 2025年までにBRIC全体で平均毎年1兆米ドル拡大する可能性がある。
— ジム・オニールの予想は楽観的と言えるが、ただBRICの中級層が増えるにつれて、消費材とサービスのセクターは大きく拡大すると思われる。
— 例えば、2020年までに世界の車の販売台数や高級品の半分、飛行機の35%を占めるとされている。
— 投資家はどうすれば良いか、一つは株式市場に参加すること、例えば中国の株式市場の時価総額はあと20年内にアメリカを抜くとされている。
— もう一つは債券市場である。
— ジム・オニールのように新興国に対してブルな考えをもつグループがいる反面、ベアなグループは、経済の不透明感がより深刻になればBRICなどの新興国もそのショックを間逃れないとしている。
— また、ジム・オニールのアドバイスを受け入れる投資家が増えれば新興国にお金が流入しインフレへのプレッシャーが高まる、としている。

対して日本に関する記事もフィナンシャルタイムズにありましたので、続いてこちらもご紹介致します。記事のタイトルは、「安く見えてきた日本株」

— 20年前までは、機関投資家にとって日本株を保有していないということはキャリアを危険にさらしていたが、いまでは、日本株を保有していることがキャリアを危険にしている。
— メリルリンチの調査で、29%のファンドマーネージャは日本株を保有していないと答えている。
— その理由として;日本企業のマネージメントは株主を軽視する、簡単に株を希薄化する。また、ROE(株主資本に対する収益率)はアメリカの1/3という低さ。
— ピークから75%低くなっている日経平均は評価方法によっては安くはない。
— さらに、人口の減少や中国の台頭を考慮すると希望が無くなる。
— しかし、少し希望を持つと、日本の太陽は永遠に沈んだのではなく、雲に隠れているだけと考えられないか?
— ROEが低い理由について、モルガン・スタンレーのアレックス・キンモットはデフレによるものだとしている。
— 循環的変動調整を行うとアメリカと同じぐらい株式は高いため、悲願的な投資家はもっと安くなってから入っても遅くはないとしている。
— しかし、ここ十数年銀行が土地や株の持ち合いで計上した損失を省くと、日本株は安くなるとキンモット氏は言う。
— では、過剰投資や株の希薄化などの企業体質はどうなのか?金融引き締め以降、日本企業の投資は減少しており、減価償却されるにつれて利益マージンが高まると思われる。
— また、企業の持つ負債額も削減し、利子を支払われる側となっている。
— さらに、日本の株はブックバリュー以下で値付けられており、多くのキャッシュを保有し、レバレッジも低い。
— ベン・グレアムの投資基準に合う株は日本にたくさんある、アメリカ株ではそうは言えない。
— 最近、雑誌のエコノミストに日本の人口低下に関する記事があったが、日本の労働人口低下は問題ではない。というのも低い労働力参加率を高めれば問題が無くなる。
— また、日本の人口が減少していることに対して悲願視する人たちが見落しがちなのが、経済成長と投資収益は比例しないということ、すなわち、GDPの成長が直接株式市場の上昇に比例しないというリサーチ結果がある。
— 日本にはチャレンジがたくさんあるのは確かであるが、日本がおしまいとする解説は大げさである。
— そこに投資チャンスが眠っている。

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